もくじ
台風の被害の賠償の責任について
日本に住んでいる限り、なかなか避けて通れないのが台風ですね。
モノが飛んできて壊れてしまったとき、
「これって誰かが賠償してくれるの?」
と、ふと思ったりしますね。
台風で被害に遭った場合の賠償や保険についてまとめました。
台風が終わると、弁護士事務所には
「台風で瓦が飛んできて車が傷ついた!これって相手に賠償させることができるの?」
「屋根の一部が飛んで隣家の窓ガラスが割れてしまった!損害賠償を求められてるんだけど、どうすればいいの?」
などの相談がよく寄せられるそうです。
こういったケースがどうなるのでしょう?
法律の世界ではどうなっているのか見てみましょう。
【一般的には損害賠償請求権は発生しない】
一般的には他人の行為などによって損害が発生しても
「本人が故意にやった」
「本人の過失によって損害が発生した」
という場合以外は、損害賠償請求権は発生しないそうです。
台風で瓦が吹き飛んで車に当たったとしても、それはわざとでも、過失でもなく、
台風という不可抗力のせいでどうしようもなく起こってしまったことと考えられます。
これを見ると、瓦の持ち主には責任はないということになります。
ですが、これには例外があります。
次の項で見ていきましょう。
台風の時の飛来物での怪我や損傷の賠償は
【工作物に欠陥があった場合は賠償請求できる】
民法717条1項には
「工作物(家、家の一部、庭先のものとか)の保存や設置の仕方に欠陥があったせいで他人に損害が発生した場合、
所有者はその損害を賠償しなければならない」
というようなことが書いてあります。
安全にあるべきものが、安全を備えていなかった場合には損害賠償が出来るということになります。
例えば瓦だったら
「瓦がガタついているから安全とは言えないね」
とか
「過去にも大きい台風が何回も来てるんだから、小さい穴でもあけて堅い針金で固定すればいいでしょ。」
というようなことです。
しかし、建物に不備があったとしても必ず賠償金をもらえるというわけではありません。
例えば明らかに危険そうな建物のそばに車などを止めて被害に遭ってしまい、建物の所有者に賠償請求した場合には、逆に
「台風で被害が出そうなのを車の持ち主は知ってたよね?建物に不備はあったけど、そこに停めておくほうも、おくほうじゃない?」
という判断のもとに、建物の所有者がすべて賠償するわけではなく、車の持ち主も被害額を負担したという判例もあるそうです。
なんとも法律って難しいものですね。
時と場合によるということでしょうか。
【賠償請求は結構大変】
これらの法律に従って、賠償を請求するとなると、請求する人が、
「ここの安全性が欠けている!」
ということを調査しなければなりません。
裁判になったりすると、費用がかかりますし、今後のご近所付き合いもいろいろと面倒なことになりそうです…。
被害額にもよるとは思うのですが、そこまで大きくなければ、ここは大事にはせずに、両者で話し合って、
・被害額を折半
・被害額の一部を負担
・お金のやり取りはせずに、今後の対策を話し合う
など、穏便に済ませたほうが楽かもしれません。
台風の時の賠償に対応する保険は?
【住宅】
台風のための保険は住宅に関して言えば、火災保険に加入し総合住宅保険のタイプの、自然災害も保証してくれるものに入るのが良いでしょう。
代表的な評判のいい保険会社は
・東京海上日動火災保険
・三井住友海上火災保険
・損害保険ジャパン日本興亜
などです。
台風による雨漏り、風で飛来物がぶつかったときの保証(風災)などの損害の修理費用をカバーしてくれます。
【車】
一般的に車両保険は自然災害(台風・大雨・集中豪雨・竜巻など)は適応されるものが多くなっています。
それは東日本大震災以降に特約が新しく出てきたことでカバーできるようになりました。
「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」
というものが出てきて、自然災害で受けた被害をある程度補償してくれます。
ですが、地震によって車に破損が生じた場合は自動車保険の対象外となってしまいます。
保険会社によって取り扱い等が違うことがありますので
詳しくは窓口で相談してみてくださいね!
台風に地震と、日本は自然災害が溢れる国ですね。
モノが壊れるのは仕方がないことですが、災害に向けて建物に不備がないか確認したり、壊れたときの為に対策をとったり保険に入っておけば少しは安心ですね。
自然災害に備えましょう!
台風の風災による飛来物の責任は?
台風の飛来物による被害を目にしたことはありますか?
これを風災と呼びます。
ここでは風災による飛来物があった場合のお話をします。
台風による暴雨風として、一般的には風速20メートル程度で物が飛びはじめ、
風速30メートルを超えると屋根が飛ばされるなど、
木造建築の家の倒壊もありえるといわれています。
台風が近づくと家の周りのものをしまったり、飛ばないように固定したりしますが、公共道路にあるものや保有者がないものが飛来する可能性は十分にあります。
普段はなんてことのないものも風の力が加わりとても鋭い凶器となり人々に危険を及ぼします。
あなたの家のものが加害者になることも、あなた自身やあなたの家などが被害者になる可能性があります。
そんな時、責任はどこにあるのでしょうか。
一般的には、あなたの家の植木鉢が飛来し、隣の家の窓ガラスを割ってしまっても自然災害による不可抗力として賠償責任は発生しません。
反対に隣の家の瓦が飛来し、あなたの家の窓ガラスが割れたとしても誰にも責任をとってもらうことができません。
ただし「建物や所有物に明らかな不備や欠損があったにも関わらず放置をしていた」場合に限り賠償責任が発生することがあります。
倒壊寸前の家屋などに対策をとらず放置していたなどの場合に限ります。
台風の風災の飛来物で車両保険は使えるの?
台風の飛来物で家などが被害を受けた場合に使える保険は火災保険の風災補償ですが、車が被害を受けた場合、保険は適用されるのでしょうか。
結論から述べますと、車両保険は使えます。
風で飛んできたもの(風災で)が車にあたって損害が発生した場合、一般の車両保険でもエコノミータイプの車両保険でもどちらも保障を受けることができます。
また、相手の車に何かしらの損害を与えてしまった場合でも、風災による原因だけであれば賠償責任は生じません。
万が一、自分の車が損害を受けて車両保険を使うことになった場合、等級はどうなるのでしょうか。
残念ながら今は、「等級すえおき事故」は廃止され「一等級ダウン事故」というものに変わりました。
自然災害で自分に過失がない場合でも1等級ダウンします。
飛来物により被害を受けた場合、車両保険で修理することができるのですが、翌年の保険料計算時に自己あり等級係数を1年間適用されるため、同じ等級でも保険料は上がります。
1年間だけ1等級ダウンし保険料が高くなるか、実費で車を修理するかは、損害の大きさによって判断するとよいでしょう。
台風の飛来物で賠償(個人)は使える
みなさん個人賠償責任補償というものを聞いたことはありますか?
日常生活を送る中で人の物を壊してしまったり、けがをさせてしまったり、他人のものを弁償しなければならなかったりするなど、法律上の損害賠償義務を背負うケースがあります。
例えば公園でボールを投げて遊んでいたら、駐車していた車の窓ガラスに傷をつけてしまった、
自転車に乗っていたら前からきた自転車と正面衝突をしてしまう、
外食をしていたら子どもが食べ物を投げて隣の席の人の服を汚してしまうなど身近で起こりうるさまざまな事故です。
このような事故などで適応される保険が今回の「個人賠償責任補償」です。
そこで台風の飛来物によって起きたトラブルに対してこの個人賠償補償が使えるのでしょうか。
結論を申しますと、台風や竜巻、落雷などの自然災害による損害には法律上、個人賠償責任補償の対象にはなりません。
基本的に台風などの自然災害は誰に対しても管理責任が生じないとみなされます。
個人賠償責任補償は身近に潜むさまざまなトラブルが生じたときに適応されると考えていたほうがよいでしょう。
ここ日本でもシーズン中数回は必ず訪れる台風。
台風に備えて身の回りのものを整理するなど自身が加害者にならないようにきちんと備えておくことが大切です。
しかし万が一台風によるトラブルが生じてしまった場合でも、いくつか適応される補償があることを覚えていてください。
大きな災害に繋がらないためにも、自然災害は怖いものだと認識し日々頭においておくことが大切です。
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